🎨 大草先生の展示会レポート
行ったことのないリスボンを描く

8月25日、銀座アートホールで開催されている「第7回 夏季示現会 小品展」を奏彩事務局で見に行ってきました。
奏彩で美術レッスンをご担当いただいている大草孝之先生から展示会のご案内をいただき、せっかくなので先生が会場にいらっしゃる時間に合わせて伺いました。
会場には人物画や静物画、風景画などさまざまな作品が並んでいました。その中にあった大草先生の作品は、青みがかった街の中を一台のトラムが走っている風景。作品名を見ると、描かれているのはポルトガルのリスボンでした。
🚋 行ったことはないけれどリスボンを描く
「先生、リスボンには行かれたことがあるんですか?」
作品を見ながら聞いてみると、意外な答えが返ってきました。
行ったことはないそうです。
それどころか、描かれているようなトラムが実際にリスボンを走っているのかどうかも、よく知らないそうです。実際に見たリスボンを再現しているのではなく、大草先生が思い描いたリスボンを描いている。

一見するとかなり写実的な作品なので、少し不思議な感じがしました。よく見ると、手前の道路には水色やピンク色が大胆に入っています。街並みや車は現実にありそうなのに、画面全体を見ると、どこか現実そのままではない雰囲気があります。
「風景画を描くのは、そんなに好きではないんです」
そんな話もしてくださいました。では、なぜ街を描くのだろうと思って聞いていると、大草先生が好きなのは、きれいに整った風景というよりも、都会の少しほこりっぽい様子なのだそうです。
🏙️ 「みんなと同じものは描きたくない」
大草先生と話している中で、何度か感じたのが、「みんなと同じにはしたくない」という感覚でした。
今回の作品も、周囲を見ると木製の額縁に入った作品が多い中、大草先生の作品には透明なアクリルの枠が使われています。これも、あえて他の作品とは違う見せ方にしたかったからだそうです。実際、会場を少し離れたところから眺めてみても、大草先生の作品はどこか現代的に見えます。
会場にいらっしゃった別のグループからは、「現代的な作品だから若いかと思ったら、1970年代留学だって」という声が聞こえてきました。作品だけを見て想像していたよりも、ずっと自由に「面白いもの」を探している方なのかもしれません。
🎨 白い反射だけでは「つまらない」
一緒に会場を見ながら、ほかの作品についてもいろいろと教えていただきました。ある街の風景を描いた作品を見ながら、大草先生が気にしていたのが、道路に映り込んだ光でした。反射を描くこと自体はいい。でも、白い光だけではつまらない。ネオンなど、いろいろな色を反射させた方が面白くなる。
そんな話を聞いてから改めて大草先生の作品を見ると、手前の道路には、白だけではなく水色やピンク色が入っています。最初に見たときには、単純に「きれいな色だな」と思っていた部分でした。
けれど話を聞いたあとでは、現実をそのまま描くのではなく、どうすれば絵として面白くなるのかを考えて加えられた色なのかなと、少し違って見えてきました。

🖌️ もともとは趣味で始めた絵
大草先生は、昼間は学校で非常勤講師として、夜は塾でも指導をされています。そのうえ、現在は損保ジャパンや星乃珈琲店で予定されている展示に向けた作品も制作しているそうです。
「それだけお仕事をしながら、作品制作にはどのくらい時間を使っているんですか?」
そんなことを聞いていると、大草先生は、そもそも絵を描き始めた頃の話をしてくださいました。
もともと、作品制作は趣味として始めたそうです。それが、描いた作品をコンクールに応募してみたところ賞を受賞し、そこから現在まで制作活動が続いているとのことでした。最初から作家として活動しようと始めたわけではなく、趣味で描いていたものが、賞をきっかけに少しずつ今につながっていったそうです。
今回の展示作品について「みんなと同じものは描きたくない」と話していた大草先生ですが、その一方で、作家としての始まりについてはどこか成り行きのように話されていたのが、印象に残りました。
🌸 大草先生のレッスンについて
大草先生には現在、奏彩でも美術レッスンをご担当いただいています。
今回、作品を一緒に見ていると、「ここはこうなっている」「こうするともっと面白くなる」と、気になったところをかなり具体的に話してくださいました。ただ「きれいですね」で終わるのではなく、絵のどこを見て、何を変えればもっと良くなるのかを考えている。
実際のレッスンについて伺ったときにも、レッスンの時間だけでなく、できるだけ普段から手を動かしてほしいと生徒の方に伝えているそうです。絵は数回描いただけですぐに上達するものではなく、ある程度の時間をかけながら身につけていくもの。
終始にこやかにお話ししてくださる一方で、絵について話し始めると、「ここはこうした方がいい」という考えがかなりはっきりしている。その両方があるのが、大草先生なのかなと感じました。
そして、行ったことのないリスボンを描きながら、現実にはないかもしれない色を加えていく。きちんと描くことに加えて、自分ならどう描いたら面白いだろうと考えてみること。今回作品を見ながら伺ったお話からは、そんな大草先生の絵に対する姿勢が少し見えたような気がしました。
奏彩では、大草先生の美術家庭教師レッスンをご紹介しております。絵を基礎から学んでみたい方、自分なりの作品づくりに取り組んでみたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。





































